GARAGE WORKS

diary

number:

074

2011.04.03

できることは・・・

Ishinomaki-2

 

 

 

約5日間のボランティア活動を終えて、ひとまず東京に戻りました。

現地の惨状は、テレビで見ている人にはもはや言うまでもないだろうけど、個人的には想像を遥かに超えてた。

 

「ここで、どこから何を始めろっていうんだ?」

というのが、はじめて町を見た時の印象。見渡す限り、瓦礫や土砂、車や船が折り重なり、360°その光景はどこまでも続いているように見えた。

今回向かったのは宮城県の石巻市。特に被害が大きかった場所のひとつ。そして、おそらく、関東地方より上、太平洋沿岸のほとんどの地域はこれと似たり寄ったりの風景が広がっているはずなんだ。

 

前日までは東京にいて、テレビではドラマやバラエティーが復活し、一日中地震や原発のニュースを放送することもなくなった。たまに見かける被災地の映像は「良い話」に限られ、いかにも復興への一歩を踏み出しているかのような「安心させる」ものばかりだから、ついついオレ自身もそんな気持ちになっていた。

でも、実際はそうじゃない。

いや、それは、テレビが切り取った「本当にごく一部の話」だ。

 

そして、それ以上に驚くのが、現地での「ボランティアの少なさ」。

阪神大震災の時に、あれほど駆けつけたボランティが、現地にはほとんどいない。

よくテレビやネットで言われてた「勝手に行くと、現地で迷惑になるから」という噂。

もちろん、阪神大震災の時に多くの人が勝手に駆けつけて、トラブルはあったんだろう、現地で迷惑をかけたこともあったんだと思う。それは事実。でも、それはテレビと一緒で、本当に「ごく一部」だ。少なくとも9割以上の心あるボランティアの人たちは被災した人たちの、そして復興への大きな助けになったはず。

 

今テレビやネットで流れている情報は「すべて」ではなくて「一側面」だ。だから、その情報だけを見て、すべてを判断しない方がいいって、今回はマジに痛感した。

 

現地では、復興への足がかりとなるための「人手」が深刻なほど不足している。

そりゃーもう、とんでもない数の人手が必要です。

物資はあっても、それを仕分ける人がいない。

物資はあって、それを届ける人がいない。

重機の入れない場所は、「人の手」でしかきれいにはできない。

津波に襲われた自分の家を前に呆然と立ち尽くすバアちゃんの家を国は片付けちゃくれない・・・

このまま放置していたら・・・・

残念ながら、国はもちろん、市もほぼお手上げ状態。ノープラン。

もう、これをできるのは「民間」=「人の手」だけだ。

 

このあとも、日々のボランティア活動内容を、みんなに詳しく報告できればと思っています。

今日は取り急ぎ、感想だけを。だって、いろいろありすぎて、何から書いていいんだか・・・

でも、とにかく、「行ってよかった!」

そして、こんなオレでも、できることは・・・・・・・ある!

 

緊急速報

今、アニキのアユムを中心に、新たに「ボランティアの受け入れ場所」を立ち上げるために仲間達が奔走しています。近日中に、こちらも詳細を報告できれば。

 

 

しょうもない情報に惑わされず、国にも頼らず。

自分の目で見て、自分で決める。それが一番シンプル。

ただ困ってる人が目の前にいるから、助ける。これもまたシンプル。

頑張って助けたら「本当にありがとう!」って心から言ってもらえて、それがすごい嬉しくて、「もういっちょ、いってみよー!」って元気が湧いてくる。

誤解を恐れずに言えば、オレはボランティアを「楽しいから」やってる。

目の前にして感じる痛みや苦しみも全部含めて。

「自分が誰かの役に立ってる」という気持ちは、これほど人を元気にするんだって、驚く毎日だった。

そんで、作業が終わったときに、笑顔でひと言。

「東京がピンチになった時には、助けにきてね!」って。

 

一日一日、「もう一度訪れたい場所」と「もう一度逢いたい人」が少しずつ増える。

石巻の避難所で出会った内海のおっちゃんと「復興したらうまい酒をたらふく飲もう」って約束した。

おっちゃんは大酒飲みらしいから最後までは付き合えないだろうけど、それも今から楽しみだ。

 

さて、オレも目の前の仕事を気合いで終わらせて、また東北へ向かおう!

 

 

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diary

number:

075

2011.04.04

アホになれ!

Ishinomaki

 

 

 

今回ボランティアとしてはじめて現地に行って、活動した主な内容はこんな感じ。

 

●届いた物資を倉庫へ運び込む&仕分け作業の手伝い。

●炊き出しの手伝い。

●作った炊き出しや弁当、物資などを避難所に届けたり、その近隣の人たちに声をかけ、配る作業。

●津波の被害を受けた老人ホームなど、様々な施設に行き、中に溜まってしまった土砂の撤去や、使えなくなってしまったベッドや衣類、その他様々な「重いもの」を外に運び出す作業。

●沿岸部の津波にやられてしまってはいるけれど、早急に、また大人数で一気に掃除さえすれば、まだかろうじて住むことができるお家に駆けつけ、水を吸い込んだ畳や家具など、一人や二人では運べないようなものを外に出したり、中に溜まった土砂を撤去することによって、力のないオジイやオバアでもなんとか「掃除が可能」なところまでのお手伝いをする、という作業。

●ひとしきり、力仕事を終えたあと、ちょっとした空き時間を見つけては避難所の子供達と交流したり、おじちゃん、おばちゃん達とゆっくり話をしたり・・・

 

ざっと大まかに言うとこんなところでしょうか。

もちろん、現地でのニーズは日々変わっていくけれど、基本的には大きく変わることはないと思います。

 

特に、最後から2番目。

沿岸部の津波にやられてしまったけど、早急に大掃除を手伝ってあげられれば、まだ住むことができるお家を「人の手」で何件まで救出できるのか? ここに最も多くの人手が必要だと感じた。人の手が多ければ多いほど、単純に、多くの件数が救われるし、復興へ踏み出す「最初の一歩」の、本当に小さいけれど、確実な「きっかけ」になっている、という実感が味わえたから。

 

片付けの休憩時間に、「ありがとな」っていうお礼とともにおっちゃんが言ってた。

「かろうじて流されなかった2階の部屋で今は寝起きをしてる。そして、朝、目が覚めて、避難所に朝食をとりにいくため1階に下りると、そこにはメチャクチャになってしまった自分の家。現実を受け止めなきゃいけない、片付けなきゃいけないと思うんだが、あまりの酷さに、どこから手を付けていいのか、奥さんとたった二人で、こんなに重いものをどうやって運べばいいのかって考え始めると、途方に暮れて、結局、手を付けられないまま、沈んだ気持ちで毎日を過ごしてた。でも、こうして今日、みんなが一斉に片付けを手伝ってくれたことで、オレもようやく『やろう。やるぞ!』っていう気持ちになれたよ。あとは奥さんと二人でなんとかやれる、ここまででいいよ、本当にありがとう」

 

今回、家の片付け作業をやったのは5日間のうち3日間。家の大小はあるが、件数でいうと10件ほどだ。

1日3〜4件。でも、次の日その家の前を通り過ぎると、皆、必ずと言っていいほど自分の家の掃除をしていたのが、オレにはすごく印象的だった。

「きっかけ」にはなってる。そう思えた瞬間だった。

 

「復興への道筋」なんてのは、正直オレには描けない。それほど賢くはないし、「この先どうすんの?」って聞かれても、今のオレにはその答えは見えない。片付けなきゃいけない問題もきっと山積みだ。それくらいはオレにも分かる。

 

でも、家の片付けはオレにもできる。オリャー!ていって、ウォーって叫んで、コンニャローって言いながら重いもんを運びまくって土砂を家からかき出すだけだ。「アホでもできる」って言っちゃうと元も子もないけど、今はその「アホ」がメッチャ大勢必要とされているんだと思う。そりゃあもう「全国のアホ大募集!」だ。

 

「で、その先どうすんの?」って賢い人に聞かれたら、

「うーん、それはまたそんとき考えるわ、はい、このスコップもってキミも土砂すくおうか?」って笑顔で言ってやることにしよう。

うん、アホだねー。

でもきっと、そん中から見えてくることがあると思う。勘だけど。まぁまぁ当たるからさ。

 

 

はい、そんなこんなでオジイ&オバアのお家キレイにしちゃおうぜ的な必要グッズ紹介!

●ゴム手袋(厚手のモノ)。軍手だと、水がしみちゃうよ。滑り止めがついてりゃなおいいね。

●長靴。そこら中水浸しだから、これは大事。足の甲の部分に鉄板が入ってる「安全長靴」なんて最高だね。

●水をはじく作業着。カッパとかウィンドブーレーカーみたいなヤツでもいいね。

●マスク。 粉塵も結構すごいから、しておいた方がいいかも。

●ゴーグル。 ゴミや水が目に入らないようにするため。

●帽子やタオル。 頭の保護や汚れ防止、タオルは汗もふけるから便利。

●ついでにカッターやニッパーなど持ってると絡まったコードや紐を簡単に切れるので便利っす。

 

これだけありゃー怖いもんなし!っていうか、もうほとんど誰だか分からん!

要は「濡れないこと」が一番大事です。はい。

 

 

緊急速報2

現在アニキのアユムが宮城に走り、テント村を確保!

ボランティア募集の詳細は4月5、6日あたりに発表できるようドタバタしておりやす!

 

また報告します。

 

アホになれ!

やぁ〜!

 

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diary

number:

076

2011.04.09

アップアップ!

Saigai

 

 

 

ボランティア募集のサイト、まだ仮サイトですがアップが完了しました!

 

www.saigaishien.jp

 

です。1人でも多くのご参加、お待ちしておりやす!

 

15日からのボランティアの受け入れ態勢を整えるべく、アニキのアユムをはじめ、現地を取り仕切るリーダー達は本日の夜から宮城に出発。

オレは居残り組で、ただいまチャリティーブック(なんと512ページ!)の製作からウェブサイト、ボランティアのユニフォームやらその他諸々の製作、ついでに現地で使う車の調達・・・と、今までの人生の中でも、かなりトップクラスの忙しさだけど、これをなんとか乗り切り、スーパーサイヤ人を目指しておりやす。快眠? 睡眠? なにそれ? みたいな・・・

 

まぁ、それにしても、「3ヶ月ほど、ボランティアやるぞ!」って言って、すぐにこんなけの頼もしいリーダー連中が集まるってのも、たいしたもんだ。昔からの見慣れた顔ぶれ。こんな時は最高に頼もしい連中。そして、比較的「社会不適合者」多し(笑)。ま、人のことは言えないけどさ。

 

人に決められた動きはあまりできないけど、「現場で臨機応変に動いてください」と言われればピカーン!と目が輝く人たちだから、こんな時はまさにうってつけだ。そして、この連中となら仕事だろうが、ボランティアだろうが、サバイバルだろうが、なんだって「楽し」める。それもポイント。

 

無償だろうが、無謀だろうが、無休だろうが、それを笑ってこなせる「アホヂカラ」が、こんな時こそ必要だ。

 

1人でも多くの参加を!

現地で会いましょう!

って、その前にお仕事片付けよう!

 

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diary

number:

077

2011.04.14

おねがいしまする。

Goro-2

 

 

 

宮城県石巻市を拠点にしたボランティア活動がいよいよ始まります。

オレはというと今は東京滞在組で、チャリティーブックやウェブサイトの製作、ついでに現地で使う車両の手配など、「何でも屋」の守備範囲を日々拡げつつ頑張っとります。

人生の中でもこんなに一日何度も電話したことねーってくらい、お昼から夕方にかけて、頻繁に電話が鳴る毎日。ちょっとしたビジネスマンの気分を満喫できて、これはこれで楽しい。んでも、深夜のこの時間は、やはり静かで落ち着くなぁ〜。

 

現地で活動していると毎日汗かいてヘトヘトになって、早い時間にテントでぐっすり寝ちゃうんだけど、東京でデスクワークをしていると、どうしても身体より頭がグルグル回って、いろんなことを考える。

今回の地震が起きたとき、すぐに「まずはできることってなんだろう?」と思って、すぐに募金をした人も多いと思う。オレもそう。募金先は赤十字と24時間テレビだったっけな?

「なんで赤十字に?」って言われると、ちょっと困る。

募金する先のことはあんまり深く考えたこともなかったし、何となく信用できそうな気がしたからだ。

 

今回、現地にボランティアに行って、実際に「最前線」で活動するNGPやNPOのリーダーの人たちと話をする機会があった。そして、みんなの共通の悩みはやはり「資金不足」。全国のみんなが気持ちをお金に換えて、集まった義援金の総額は本当にすごい金額。でも、その行き先のほとんどが「赤十字」などの大きな団体で、残念ながら、そのお金は現場の最前線で最も「草の根的」に動き回る人たちにはまわらない。危険を冒して被災地の一軒一軒をまわり、指定避難所ではない小さな避難所を見つけ、細かく地図に書き込み、その地図を元に、さらに細かい支援活動を行っていく。その草の根的な活動があって、その地図があって、初めて大きな団体は動くことができる・・・

 

「募金する先」「その使われ方」を考えたのは今回が初めてだった。

 

俺はやっぱり、どんな仕事でも「現場」が好きだから、これからはそっちに募金することにした。

もちろん、赤十字に募金したって、そのお金は無駄になんてならないと思う。でも、最前線にお金が届けば、もっと早く、もっとたくさんの人たちが助かるのは確かだと思う。

そして、今回はひょんなキッカケで、自分自身も最前線での活動に参加することになったから、自分でもなんとか、少しでも、活動資金が集められたらと思う。

 

そこでみなさんにお願いです。

もし、この先募金をすることがあったら、そのお金はぜひ最前線で活動するみんなにまわしてあげてほしいっす。

もちろん、各地に先頭を切って活動しているグループはたくさんあると思うけど、オイラが石巻で会った仲間達は『ピースボート』と『め組ジャパン』。そしてこれからは自分達も本格参入。両チームとも、最前線での活躍っぷりには本当に感心させられました。

 

そんで、個人的に活動資金がなんとか少しでも集められたら、と思ってはじめた『JUST GIVING』。

よかったら協力してくださいませ。

 

もちろん「ピースボート」や「め組ジャパン」でも嬉しいっす。だって、結果的に現地の人たちが喜べば、それでいいんだからさ。

 

今回は本当に、復興まで長い時間がかかるだろうけど、それでも、やっぱり、張り切っていくしかない!

 

 

『GWC−ミノルのJUST GIVINNG』

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diary

number:

078

2011.04.20

過去と現在

DWC

 

 

 

ついに手元に見本が届いた!

最近、一生懸命作っていた本。

DEAR.WILDCHILD」(ディア・ワイルドチャイルド)

この本をご存知の方は結構マニアック!

文・写真は共にアニキのアユム。

もともとは「通信販売限定」で5冊に分けて販売していた、世界一周をしながら作った旅ノート。

そうです、この本こそが、大ベストセラーになった「LOVE & FREE」の原作。

そして、個人的には、この本こそが、オレ自身のデザイナーとしての「出発点」になった本。

二人タッグで本を作るようになった最初の作品であり、たくさんの写真と短い文章で構成する「高橋歩らしいスタイル」は、まさにこの本から生まれたものだ。

 

どれくらいだろう、もう12〜3年前の話かな。

そして、この本(5冊分)のベスト盤として「LOVE & FREE」は出版され、「こんな本、売れないよ」という声を見事に覆し、気づいてみたら30万部を楽に突破していた。

まぁ、正直、自分たちもまさかこれほど売れるとは、思いもしなかったけれど・・・

 

あの当時の話はこうだ。

オレは当時24歳くらい。サンクチュアリ出版の立ち上げから3年が経ち、初期メンバーは、はじめからの約束通り、それぞれの道へ進み、アニキは結婚し、世界一周へ出発。オレは独立し、ひとりデザイナーとして活動を開始することに。特に仕事のアテもなんもなかったオレは、「さて、何を作ろうか?」と考えながら、しばらくのんびり過ごしてた。

 

あの当時、オレにはひとつのコンプレックスがあった。

それは「本は音楽よりダサイ」というもの。

今になって思えば、そんなことは全然ないんだけれど、あの当時は、かっこいい本が世の中にたくさんあることも知らず、音楽のCDジャケットやブックレットなどのビジュアルが、本の表紙や中身などよりずっとずっとかっこ良く見えて、なんだかいつも悔しかった。「本は好き。本のデザイナーになりたい。でも、本はダサイ。くっそー、なんで?」と、いつも思ってた。自分が好きなことを「ダサイ」と思うのは、それがなんだろうと悔しいもんだ。

 

そんな時、ある晩、ちょっとした夢を見た。

ある友達が夢に出てきて、こう言った。

「カッチョいいのが作りたかったら、CDみたいな本を作ったらええのとちゃうん?」

あってるのか、間違ってるのかは置いといて、大阪弁でこういった。

「だよね!」と思った瞬間に目が覚めて、机にあったメモ帳にアイディアをメモり、すぐに出発直前だったアニキに電話をかけ、次の日、本のアイディアを話しにアニキの家まで飛んでった。

 

旅をしながら、本を作ろうよ。撮った写真と言葉を並べて。パッケージはCDみたいなヤツがいい。

プラスチックのケースに入れて、袋に入れて、シールを貼って、なんなら専用のボックスも作ろうかな・・・本のタイトルは・・・・・?

そんで、アニキからすぐに出てきたのが「DEAR.WILDCHILD」。日本の親愛なる野生児達へ・・・

それ、いいな。それで決まり!

アニキとの仕事は、やるとなったら話が早い。

アニキとサヤカさんはすぐにオーストラリアに旅立ち、オレはさっそく本のパッケージを考え始めた。

サイズはCDと同じサイズ。

ページ数は100ページくらい。フルカラー。

専用のプラスチックケースを作った。

専用のボックスも。

袋にはやっぱりシールを貼りたくて、シールも作った。

袋はポテトチップスみたいな端っこがギザギザの銀色のヤツで、ビリッとあけてみたい! なんて思って、カラムーチョの袋詰めなんてしてる工場にお願いしたこともあった。

 

な〜んてことをしていると、だいたい想像はつくと思うが、とんでもない金がかかった。

借金は山積みだったけど、とにかく、作りたいものを作ってみたかった。思う存分。

お金を心配したアニキが、海外から「書店に流した方がいいんじゃないの?」って連絡をくれたけど、こんときばかりはめずらしく、アニキの言葉にも耳を貸さなかった。

自分でひとつひとつボックスに入れ、袋に詰めて、シールを貼り、梱包し、発送した。

まだインターネットが身近ではなかった時代。申し込みはすべてハガキだった。代引きシステムもないから、振込は郵便局。

今ではずいぶん昔のことに感じるなぁ。

 

この本は、書店に「流さなかった」んじゃなくて、「流せなかった」んだ。どちらかというと。

袋に入っていて中身はみれない。サイズも特殊。原価はとんでもなく高くて、流通の経費を考えたら、とてもじゃないが、同じ作りで今までの定価で売ることは難しかった。書店に流すなら、「普通の作り」に戻す必要があった、でも、それは絶対いやだったから。金はきついが、ここまでくると、もう意地だ。

 

こんなんだから、アニキが旅をしてる間は、自分の力では本をたくさん売ることはできなかった。

旅から戻って、アニキも一生懸命トークライブをしながら本を売ってくれた。

サンクチュアリ出版を引き継いだ社長のツルくんが本の通信販売を受け持ってくれて、ベスト盤である「LOVE & FREE」を出版してくれた。そして、それがベストセラーになった・・・

 

そう考えると、この本を作って、結構たくさんの人に助けられ、今の自分がいるんだなぁ・・・っと、しみじみ思ってしまう。

「LOVE & FREE」に引っ張られ、おかげでこの本も通信販売でもよく売れるようになった。何度も増刷を重ね、売れ続けていたけど、アニキの2度目の世界一周を機にこの本は完売次第絶版にしよう、と決めていた。

 

それが、今回ひょんなことから、復活を遂げた。正直、自分でもビックリ。

リメイクするために、12年前に作った本のデータを、本当に久しぶりに開いてみると、そのあまりのデザインのひどさに、正直恥ずかしくなったけど、なんも知らんからできるメチャクチャな良さもあって、そこはそのまま活かすことにした。

5冊分で512ページ。とんでもないページ数。

12年前の自分が何を考えながら作ったか、そんなことも感じながら、結局、その時をデザインを活かしながら全ページを「今の自分」がリメイクした。あの頃よりはずいぶん成長したなぁ、と自分でも思う。ま、当たり前か。

 

ベスト盤である「LOVE & FREE」に載っている言葉の数のざっと2、3倍はあるかなぁ。

ハチャメチャなイラストもあれば、思わず吹き出すような笑えるページもある。旅ノートならではの直感的で本能的な言葉たち。今まで出版してきた、すべての本の「原石」が詰まった本だと思う。

 

個人的には、昔の自分にカリを返せてよかった。

 

熱くなって、思わずめちゃ長く書いてしまった・・・

 

4月25日あたりから、書店に並び始めると思います。

確か定価は1900円+税。ちょっと高いけど、512ページ(まるまる2冊分!)、フルカラーの本だから、そこはご勘弁を。

 

それでは!

 

 

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